相当因果関係の考え方
個々のケースによりますが、前の疾病又は負傷がなかったならば、後の疾病が起こらなかったであろうと認められる場合は、相当因果関係ありと見て前後の傷病を同一傷病として取り扱います。ただし、通常、後の疾病には負傷は含まれません。
なお、具体的な例は次のとおりです。
( 1 ) 相当因果関係ありとして取り扱われることが多いもの
@ 糖尿病と糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性壊疽(糖尿病性神経障害、糖 尿病性動脈閉鎖症)は、相当因果関係ありとして取り扱います
A 糸球体腎炎(ネフローゼを含む)、多発性のう胞腎、慢性腎炎に罹患し、その後慢性腎不全を生じたものは、両者の期間が長いものであっても、相当因果関係ありとして取り扱います。
B 肝炎と肝硬変は、相当因果関係ありとして取り扱います
C 結核の化学療法による副作用として聴カ障害を生じた場合は、相当因果関係ありとして取り扱われます
D 手術等による輸血により肝炎を併発した場合は、相当因果関係ありとして取り扱います
E ステロイドの投薬による副作用で大腿骨頭無腐性壊死が生じたことが明らかな場合には、相当因果関係ありとして取り扱います
F 事故又は脳血管疾患による精神障害がある場合は、相当因果関係ありとして取り扱います
G 肺疾患に罹患し手術を行い、その後、呼吸不全を生じたものは、肺手術と呼吸不全発生までの期間が長いものであっても、相当因果関係ありとして取り扱われます
H 転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認できたものは、相当因果関係ありとして取り扱われます
( 2 ) 相当因果関係なしとして取り扱われることが多いもの
@ 高血圧と脳出血又は脳梗塞は、相当因果関係なしとして取り扱います。
A 糖尿病と脳出血又は脳梗塞は、相当因果関係なしとして取り扱います。
B 近視と黄斑部変性、網膜剥離又は視神経萎縮は、相当因果関係なしとして取扱います
(注) 相当因果関係がないにもかかわらず厚生年金期間中に発病・初診があるとして、年金請求書が提出され、不支給となるケースについて、苦情申立てがあり,ますので、後にトラブ ルとならないよう十分確認のうえ、受付されるようお願いします。